債券価格のしくみ
債券価格とは、二次市場において取引される債券の取引価格のことを指します。通常債券は1単位あたり、額面100円で発行され満期時には額面と同じ100円で償還されます。しかし、満期前に取引される二次市場・流通市場においては、その会社の健全性や周囲の金利水準などにより取引される価格は額面と違います。その価格のことを債券価格と呼びます。
債券価格の決まり方
債券の取引価格である「債券価格」は一般的に「金利」と「健全性(信用リスク)」という二つの観点から価格が変動します。それでは、具体的に金利や信用リスクが債券価格に対してどうして、どのように影響を与えるのかを分析していきます。
債券価格と金利
そもそも債券価格というものは、要するにその時点におけるリターン(利回り)に応じて変動することになります。例えば、今あなたが選ぶことができる金融商品が二つあるとしてどちらを選択しますか?表記されていないことは全て同一とします。
A銀行の定期預金(1年):金利3%
B銀行の定期預金(1年):金利5%
100人に聞いても合理的に判断するのであれば、全員が金利が5%の定期預金の方が魅力的だと答えると思います。この状態はB銀行に預金が殺到し、A銀行の預金は全て引き出されるでしょう。このため、B銀行は十分な量の預金を集めることができるので、金利は下がります。逆にA銀行は預金が流出してしまうので金利を引き上げて預金者をつなぎとめようと金利を上げます。この働きにより合理的な経済市場では、その後、A銀行とB銀行の金利は同程度になります。
債券の場合も同じです。例えば、1年前に発行された債券があったとします。この債券は1単位につき年に3円のクーポンを支払うものとされています。(債券の額面は100円ですので、年間に3%の金利がつくのと同じ)
対して、最近は景気がよくなってきており、金利も上昇しています。同じ会社が発行している債券では額面100円に対して5円のクーポンをつけるようになっているとします。
この場合、債券価格に変動がないとすれば、1年前の債券を売却して、今販売されている債券を購入した方がお得になってしまいます。そのため、起こる現象が、金利(クーポン)の低い債券が売られてしまうのです。需給の関係により債券が売られその分価格が下がってしまいます。
上記の例とは逆に、市場の金利が下がった場合は、1年前に発行されている債券にはプレミアム的な価値が生じることになります。そのため債券の価格は上昇していきます。
まとめると、債券価格と金利の関係は以下のようになっています。
・市場金利上昇→債券価格の下落
・市場金利下落→債券価格の上昇
発行体の信用リスクと債券価格
債券の価格にもう一つ大きな影響を与えるものがあります。それは債券を発行している発行体の信用リスクの上下です。「債券とは」のページでも説明したように、債券は満期になると額面の全額が償還されますが、発行体がそのとき返済できない場合(破綻した場合など)は、債券が紙くずになってしまう恐れがあります。
このリスクを示しているのが「信用リスク」です。信用リスクとはこうした発行体の財務状況の悪化などにより債券投資における元本の安全性やクーポン(利息)の確実な支払いなどが行われるかをリスクとしてとらえ、デフォルト(債務不履行)をおこすリスクのある会社の債券価格はその分下落します。
債券の発行体の信用リスクを知るにはムーディーズやスタンダード&プアーズなどの格付会社がよく参考資料とされることが多いと思います。債券が最初に発行される際のクーポン(利息)分についてはその時点におけるその企業(発行体)の信用リスクに応じて金利が高くなります。
例えば、超優良企業が発行する社債の金利は国債などの安全性が高い債券の金利とほとんどおなじ水準で発行されますが、信用リスクの高い企業が発行する社債の金利は信用リスクが高い分、プレミアムが上乗せされ、高い利率が付くようになります。
上記は債券が発行される際ですが、これと同じ現象は債券が発行された後も続きます。例えば、債券を発行しているある会社の業績が急激に悪化してデフォルト(債務不履行)のリスクが高まった場合はその債券を売りたいという投資家が増えて債券価格は下落します。逆に債務不履行の恐れがあった会社が立ち直った場合などは高い金利が好感され債券価格は上昇します。
まとめると
・信用リスクの増大→債券価格の下落
・信用リスクの減少→債券価格の上昇